結局GEの6AU6は、通常の5極管としてはとしてなら特性も揃っていて良いのですが、SLVCCC用にはあまり向いていない事がわかりました。
それならばエージングで途中までとなっていた6AU6系の7543をきちんと測って見ようということになったのですが、これが見事な特性を示したのです。
一応6AU6のローノイズ管とされていますが、SLVCCC特性はまるで違っています。メーカーはジャーマンナショナルと書かれていて、ナチスが極秘にSLVCCC用の球を開発していたのではないかと思わせるようなカーブです。
ここまでくると、さすがに欲が出て、この特性を最適j条件で使いたくなります。というのも、実際の回路では差動回路の1球につき1〜2mAくらい流さないと相互コンダクタンスの高い所が使えず、高いゲインが稼げないからです。
実際に差動回路の電流を増やすためSLVCCCのバイアスをプラス40V位まで上げてゆくと、定電流特性最適電圧が3V以上に上がって、波形のマイナス側がノンリニアな領域にかかり、結果的にここで歪が発生します。
ただし差動回路の動作特性との打消しで、意外なほど歪成分は出力側に現れないようです。。
とはいうものの、出来ることなら定電流特性が2V以下で、つまりSLVCCCのバイアスがプラス20V位の特性で2mA近く流せれば良いのですが、贅沢はいえません。
そこで、よく定電流ダイオードでやるように、SLVCCCもパラレル接続にすることにしました。
回路的に若干大げさにはなるものの、幸いな事にこの球はあまり知名度が高くなく1本500円で大量に購入できそうです。つまり私だけの掘り出し物状態なのです。
現状で、世界のSLVCCC人口はおそらく1名でしょうから、私が買い占めてもほとんど世間の御迷惑にはならないはずで、さらにパラレルの数を多くすることにより、1V以下でも定電流特性を持つなかなかレアな素子が得られるというわけです。
ソケット代も含めて1個700円する定電流ダイオードはコスト高といえますが、プレミアムというだけで高価な球を買うよりも、こうしたところにお金を使うほうが、私にとっては充分バカげてて面白いと感じています。
上の回路図では、たかがマイナス電源不要の差動回路のため、ここまでやるかといった感じですが、今までにない領域を楽しむ快感はあります。
多くの人がアンプを作っては飽きて作り直す原因は、ほとんど変わってない回路パターンの繰り返しに、飽きが来てきているからではないでしょうか。
ラジオ1台で家が買えた時代は終わり、現代は極めて電子部品の価格が下がっていますから、様々な実験を行うまたと無いチャンスと捉えています。
一方トランジスタアンプは、出力段とは名ばかりで、フォロワでインピーダンス変換しているだけの頼まれ職人のような存在が大手を振っているため、親方の顔が見えません。
今こそ真空管アンプ作りによりテーマ性を加えて、出来るならば球を換えるとかコンデンサを換えるという受動的jなものではなく、回路そのものにギモンを投げかけたいものです。
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